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手仕事の本当の良さ。 それが本当に。何がそんなに「良い」のか
そんなにすぐには、わからないんだと思います。長く付き合ってみてはじめて、『あぁ 良いなぁ』って感じられるんじゃないかな。時間がかかるんです。
物を作る人がきちんと愛情と想いを持って仕事をしているかどうか。それが高ければ高いほど、その人たちじゃなければ作れないものが生まれるんだと思うんです。
物作りも長く続けていく事で『良さ』が出てくるんだと思います。時間がかかるんです。でもこれって当たり前のことなんです。
僕の地元、岩手県の地場産業。手紡ぎ手織りのホームスパン。
本当に、全部手仕事なんです。
原毛から 染めて 紡いで 機で織って 仕上げる。すべての作業が手作業。糸を機にセットして織り上げるまでに 相当な工程を経てやっと糸として紡いだものを織り上げるのです。染めも手染めです。手仕事が積み重なって、1枚の布が出来上がります。
盛岡みちのくあかね会。
岩手生まれの僕は 何となくだったけど・・・小さい頃から『ホームスパン』という言葉は知っていました。地場産業としてホームスパンをおこなっているのは、世界中で岩手県だけです。
『とにかく岩手で物作りがしたい!洋服を生業とするものとして、ホームスパンの良さを提案したいし、何より自分自身ももっと体感したい!』と思ったのです。
その中で、ホームスパンを戦後から作り続けているあかね会さんにお声掛けさせていただいたのは、ある意味必然的だったと思います。
既にあかね会さんのネクタイを取り扱っていた佐々木さんにご紹介いただいて、はじめて工場を見学させていただきました。
今年の初め。盛岡はたっぷりと雪が積もっていました。
実際に1つ1つの工程を目の当たりにして、感動しました。圧倒されました。
だから、きちんと提案したいと思っています。
『あえて』でも『わざわざ』でもなく ずっとこの仕事を当たり前の事として続けているということ。
そして、きっとあかね会の皆さんがこの仕事に対して 深い愛情を持っているということ。そこに価値があると思います。それが感じられたから、感動したんだと思うのです。
僕らはコットンやリネン ウール、天然素材の風合いの変化や手触りを普遍的なものとして記憶しています。
今となっては、その『旨味』だけが残り、インスタント的に物が作れてしまうようになりました。
また、物作りにおける様々な手法も記号化され、薀蓄としてセールスに利用されてしまっています。
だからこそ、僕はきちんと愛情を持って作られたものと、時間をかけて付き合っていきたい。
5年、10年と 使い続けるうちに『嗚呼 やっぱり良い物だなぁ』って思えるものを提案したいのです。
デザインはシンプルな 青と赤のライン。
それなりの値段です。その点では、アパレル的ではないかもしれませんが・・・。
簡単に『良い』と言うのはあまりにも軽く思えます。僕自身、この先何年も きちんと付き合っていきたいと思うマフラーです。
あかね会の皆様、本当にありがとうございました。
by tatamize66
| 2013-11-08 07:17