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BAKER PANTS

完成されたわけでは、けしてありませんが

TATAMIZEが毎シーズン提案している商品を5型ご紹介いたします。


2個目はBAKEAR PANTS。


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まず始めに書いておきますが、このパンツは ディティールなど色々と説明すればするほど 『このパンツの良さ』から離れていく感じがします。 説明すると つまらなくなる。 そうゆうパンツです。

細かなことは関係なく、履いていただければよく分るパンツだと思います。 なので、気になった方がいらっしゃったら 是非一度履いてみて下さい。 

色々と 書いていますが、このパンツがどうゆう作りなのかを伝えたいんじゃなくて、『単純に良いモノ』を作ろうとする作業の 一つの話として書いておきたかったのです。




『どんな時でも、バランスの良いパンツとシューズの組み合わせが 3パターンあれば、後は何着てもそれなりに見える』 

どんなにシンプルなトップスも、ややこしいトップスも、ボトム次第で良くも悪くもなる。

だから、パンツ大事なんです。



『ブランドとしてのイメージが こうゆう感じですから、その流れで言うとパンツは こんな感じです』 みたいな

そうゆうのではなくて、アイテムとして良いもの。

僕の頭では、お店に行くと『パンツ棚』があって いろんなブランドのパンツが ジャンルごとに分かれて 陳列されている。

その状態で、『これ履きたいな』と 思えるものが作りたいのです。 それが 理想だなぁ。

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『ワークパンツ』と言われて、どんなパンツをイメージするでしょうか?

ワークというくくりは、あまりにも広すぎます。ようするに『作業着』ですからね(笑)


僕の中で ワークパンツに必要な要素は、無骨さ。それも きちんと意味のある仕様の集約でできた 無骨さです。

でも、ゴツいだけのパンツは違うんです。ここが微妙なのですが、ゴツ過ぎるボトムスは 洋服として使いにくいんです。

仕様が弱々しいんじゃなくて、作りこんでいてもごつくないパンツ。

キャップをかぶっても、シャツを着ても、ダナーでもオールデンでもケッズでも・・ どんなイメージにもハマるもの。

形の良いもの。 品のある仕上がりのモノ・・・・・・。

 
僕がまず このパンツを作るとき 大事にしたかったのは シルエットでした。

『太すぎず、細すぎない』よくいうフレーズですが、そもそもブランドによって『太い、細い』は様々。

僕が太いと思っても、皆さんには 細かったり。 だから、『ラフにも スッキリにも どちらにも履ける』そんなシルエットを探しました。

理想は、505のジャストサイズを2インチ上げて履くくらいのシルエット。 テーパードしたパンツをサイズアップして履くのはカッコ良いですし、なにより どんなスタイルにもハマるんです。


それを、曲線的な ドレスよりのパターンで仕上げる。

腿あたりにゆとりがありながら 綺麗にテーパードするライン。腰を落として履いても、シルエットがきちんと生きるパターン。 狙い通り どんなスタイルにもきちんとハマるので、実は僕はフリップチノよりもベイカーパンツの方を よく履いています。


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ちなみに、デザインする時はパターンもディティールも縫製手順も 全て一緒に考えていきます。

例えばポケットを決めるときは、その縫製方法や 縫い付けるタイミングだったり、具体的な縫い代の幅や地の目なんかを同時に考えていくのです。



このパンツは お尻あたりの前後の接ぎ目が、急に前側に倒れています。

そこへ(接ぎ目へ)前のポケットを入れ込むので、ポケット口が斜めになり手を入れやすいのです。

『・・・でも、わざわざ こんな接ぎ目にしなくても 入口が斜めのポケットなら 他にも沢山あるのでは・・?』と 思う方もいらっしゃるかと思いますが

このパンツは あくまで『ワークパンツ』なので 合理的であることが重要なんです。 

この接ぎ目利用のポケットは、非常に手順が少ないのです。しかも、袋を貼り付けにすることで、より一層簡単に作っています。

ですが、一般的なこのタイプのポケットは、横の接ぎ目が真っ直ぐなので、ポケット口も 縦にまっすぐ。

それでは手がいれにくいのです。

なので、接ぎ目を倒して ポケット口の斜めを作っているのです。・・・ご理解いただけますでしょうか?


さらに、接ぎ目が前に倒れたことで、後ろのお尻周りの分量が増えるので、その分後ろのポケットを斜めに倒し、前側にずらしたように取り付けます。これも物を入れやすいように、また 後ろポケットに入れたモノによって、座った時にポケットがすれてダメージを受けることを回避する との考えからです。


話は変わりますが、

「ワークパンツ」には、『合理性』と『使いやすさ』が 兼ね備わってなくてはなりません。

使い易い(あくまで作業時)、縫いやすい を一緒に持ち合わせるからこそ『ワークウエア』なのです。

そこが ワークウエアの独特の雰囲気を作っています。 

ようするに、デザインではないデザインなんです。  そこが良い。


ベイカーパンツを作る上で、その感じは大事にしたかったのです。きちんと理由があって、そうなっているディティール。ディティールを掘り起こして、乗せていくのではなくて 最初から考えて形作っていく。

結果的に、後ろポケットのフラップが 斜めに前に迫り出しているので、真正面からも後ろポケットのフラップが見え、しかも斜めなので それが非常にポイントとなっていて気に入っています。

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後ろポケットが 離れたアンバランスなバランスが 無骨ながら力の抜けた感じ。

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後ろポケットの当て布は、別布ではなく ポケットの下部分を続き裁ちにして 内側に折りかえしています。 ようするに合理的に。
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フラップの両端にはも閂が入ります。
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裏側の仕様。 ワークパンツらしい縫製というのがあります。要するに、ラインに乗りやすいパターンと縫製。

ワークウエアというのは、特殊ミシンを使い アイロン工程を出来る限り少なくし、早く大量に生産していきます。

分りやすいところで言う『巻き縫い』は、2枚の生地の縫い代を巻き込みながら縫っていきます。 地縫いが無くステッチと 縫い代を折り込む作業が1回で済みます。非常に合理的です。ラッパと言う金具に生地を通すと 自動的に巻かれて 後は縫うのみです。 とくに珍しい仕様ではありません。

ダブルステッチ・トリプルのステッチが基本ですので、それで上げれば 何でも『ワーク』な印象になります。
勿論、どんなパターンの どんなものでも縫えるわけではございませんが。

合理的な反面、カーブのきついラインなんかは、上手く巻かれず縫い外れてしまいます。

つまり、直線的なパターンが良い訳です。 ですが、このパンツは曲線的なパターン。

工場的には『できるけど めんどくさい』という 毎度おなじみのリアクションをいただくパンツです。
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股下裏に スレキのあて布。
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後ろ中心。

ここは一見『巻き縫い』ですが、実は折伏せです。よく見ると 地縫いがわかります。

僕としては 巻き縫いで構わなかったのですが、工場側の都合があり(多分ですが)仕上がってみたら、こう縫ってありました。

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↑はサイドの接ぎ目。ここも 巻き縫いではなく折伏せです。
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最初に書いたように、このパンツの横の接ぎ目は かなり変則的なカーブをしています。

その為、巻き縫いでは『巻けない』というのは予想できました。ですが、『そこを無理やりにでもやってるのが いかにもワークウエアなのでは?』と思い、そのまま(巻き縫いで)工場へ指示しています。

ですが、結果として1度も巻き縫いでは上がっておらず、きちんと地縫いをして折伏せてから 2本ステッチをかけている。そのことに関して、あえて1度も工場さんとは話したことはないのですが・・・・。

勿論、工場さんのやり方の方が綺麗ですし 製品としての仕上がりとしてふさわしい仕様です。でも、僕としては その『無理矢理』もみてみたかったなぁ・・・と思うところです。



・・・何が言いたいかというと、要するに、デザイナー側の要望と 作り手側のやり方には違いがあって 歩み寄ったり、寄らなかったり・・・。

だけど、結果的に良いものだったら それでオッケー!みたいなのが なんか製品に現れている物って良いわけです。いい仕上がりであれば、僕も納得できますし。

勿論そんなこと、着るときにわからなくたってイイんですけど、そうゆう キチンとお互いが お互いのわがままを考えて作った物って 良い物になると思うと言うことです。

結果的にこのパンツで言えば、表側に見えている2本のステッチが擦り切れても、地縫いが残っているので接ぎ目が パカパカ開くことはなく、要するに丈夫に作られています。 

僕の指示とは違うけど、工場さんのファインプレーで この雰囲気とクオリティーが守られています(笑)

フロントポケットの ボタン裏はフェルトで補強。

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ウエスト部分のアジャストは、三角形。 これは ハンティング物でお馴染みのhinsonの、最もよく目にするハンティングジャケットの 袖のアジャストから引用したものです。

このアジャストはよくできていて、パタパタと布を折って三角にするだけのタブ。

アジャストって、意外とちゃんと作ろうとすると 手間がかかるんです、細いやつだと特に。だからベルトの部分とか 比較的細いのは 綺麗に形を出すのは難しい。

そこを、こうゆう作りでクリアする発想。しかも 結果的に形も特徴あるし、まさに こうゆうのが『ワークウエア』なんです。


アジャストは 後ろ側のボタンに止めると ウエストを3センチ程度絞れます。

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さて、ベイカーパンツの定番カラーはオフ白のヘリンボーンですが、今季もシーズンものとしてインクブルーのコーデュロイをご提案いたします。

この素材、昨年も作りましたが なんといってもこの絶妙な色が良いです。

ブルーといっても 明るいブルーではなく、ネイビーでもない。少しパープルがかった深いブルー。

しかもコーデュロイなので、 少しくすんで見えるのもまた良いです。ちなみに 綿100。

デニムとはまた違ったこのブルーは、例えばブラウンやカーキベージュ、ブラックネイビー、勿論オフ白などなど・・・・ どんな色合いにもハマりますし、でも なんか少し 普通とは違った感じで 非常に使えます。

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コーデュロイならではの、迫力のあるパッカリングも良いです。
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ウエスト部分はパイピング処理となっています。裏のスレキを薄くして ウエスト部分の生地のごろつきを解消し、パイピングすることで ウエストの伸びを防いでいます。洗っていくとわかると思いますが、ウエストがいつも 『ビッ!!』っとしているんです。


長々と書きましたが、このパンツに一番求めたものは、シンプルで形の良いワークパンツ。

パっと見て いいパンツでありたいと思い 作っております。



着用例です。
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by tatamize66 | 2012-09-19 17:42
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